プロジェクトの内容
チリ共和国のアタカマ砂漠にあるチャナントール山頂(標高5,640m)に、世界一標高の高い天文台を建設する「東京大学アタカマ天文台(TAO:The University of Tokyo Atacama Observatory)プロジェクト」の事例です。遠赤外線観測に適したチャナントール山頂に、口径6.5mの大型光学赤外線望遠鏡施設を建設するため、望遠鏡やさまざまな付帯設備を日本およびアメリカ合衆国から建設地の山頂へ輸送しました。
標高5,000mを超える地点では、時には気温がマイナス20度に達し、さらに低酸素の環境下での作業となります。そのため、NXプロジェクトチームの作業従事者全員が酸素ボンベを装着、日々健康管理を徹底し、万全な体調で作業に臨みました。
海外で多くのプロジェクトを手掛ける当社にとっても、輸送の実績がなかったチリ共和国でのプロジェクトでしたが、安全と品質を保ったプロジェクトマネジメントを実現しました。

プロジェクトのポイント・こだわり
1. 初めての国での重量品輸送
アメリカのアリゾナ大学からチリのチャナントール山頂へ、最大重量41トン、最大幅9mの望遠鏡設備を輸送しました。アメリカ国内での輸送実績はあるものの、チリ共和国での大型重量物輸送の実績はなかったため、今回、チリでの調査プロジェクトチームを発足し、緻密な調査を行いました。チリ国内の港の選定、幅9mの設備を輸送するための道路調査、大型貨物を輸送するための各種許認可の取得方法など、多岐にわたる項目を確実に調査しました。さらに、標高5,000mから山頂までは急斜面が続くため、大型貨物を積載した車両が安全に通行できるように道路設計も行いました。当社の技術力を結集し、これらの課題を克服することで、輸送を成功させました。

2. 現地輸送会社との協力体制による特殊輸送
チリ共和国のさまざまな法規制の中、道路設計から輸送許可取得まで諸官庁および現地輸送会社と協議を重ね、幅9mの製品輸送に臨みました。
特に公道輸送では一般車両との接触事故を防ぐため、警察と一体となり安全かつ確実な輸送を行いました。
3. 日本、アメリカからチリの標高5,640mまで一貫輸送サービスを提供
望遠鏡設備は日本各地のメーカーおよびアリゾナ大学から出荷されました。
大型貨物の本船輸送は、主鏡の反射率を保つための蒸着装置(直径9m、重さ41トン)は横浜港から、望遠鏡の主鏡(直径7m、重さ27トン)はロングビーチ港から、それぞれに適した輸送を手配しました。
また、各メーカーから出荷される貨物は、梱包から行い、建設のスケジュールに応じて約300本のコンテナ輸送を実施。
さらにチリにおいては、煩雑な手続きが必要な「学術免税措置」による輸入通関をスムーズかつ確実に行いました。
シームレスなサービスで効率的な輸送を提供し、プロジェクトの成功に貢献することができました。
関連サービス紹介
陸・海・空のグローバルなネットワークで、大型設備のEnd-to-End輸送を実現します。