
工学部 機械工学科 卒
新卒でインフラ業務に携わる会社に入社、橋梁やタービンの輸送など、重量品作業に従事。その後、舞台機構の設計を行う会社に転職したが、結婚を機に、より安定感がありワークライフバランスがとれる会社で働きたいと思うように。その条件に合い、かつ過去の経験も活かせると感じ入社を決めた。
入社後、最初に驚いたのは、営業から事務処理、計画立案、事前準備、現場の管理業務までマルチに携わることができる点。守備範囲の広さから生まれるやりがいとともに、そこに比例する責任の大きさに身を引き締める中、変圧器やラジエーターなど変電所の主要設備の搬入・搬出作業に携わった。さまざまな現場を経験したが、特に印象に残ったのは大手総合電機メーカーの、工場から港へ発電機を輸送するプロジェクトだ。300tを超える巨大な発電機を、トランスポーターという特殊車両を用いて一般道を夜間走行させる迫力には度肝を抜かれた。その一方で、こうした輸送を安全に遂行するには、さまざまな角度から綿密に計画を練り、作業者やお客様との打ち合わせを重ね、不安要素を限りなくゼロに近づけることが重要であり、それがいかに大変かということも痛感した。同時に、まだ経験の浅い自分とは違い、膨大な知識と経験に裏打ちされた先輩方の自信に満ちた仕事ぶりや、お客様から信頼を得ている様子を目の当たりにして、大きな差を感じるとともに、その差こそ伸び代であると自分を鼓舞した。
一定の経験を積んだタイミングで任されたのは、当社が所有する車両で最大となる240型シュナーベル式トレーラを用いた特大変圧器の輸送・搬入作業だった。240型シュナーベル式トレーラを用いるのも初めてなら、こうした大規模プロジェクトの責任者として業務に携わるのもこの時が最初である。これまで自分が歩んできたキャリアと経験が試される時だと奮い立ち、入念に現場の下調べを行い、試行錯誤しながら輸送・搬入計画を立案し、同時にお客様や関係各所との調整を行なっていった。しかしながら、机上と現場は別物。徹底的に準備したつもりでも、現場で明らかになる「見えてなかったモノ」は多く、実力不足と仕事の奥深さを痛感した。同時に、経験したからこそ得られた知見も多く、良い学びの機会となった。その一方で、自分が作成した計画が思い通りに現場が進んでいくことへの喜びや、プロジェクトを主体的に完遂する醍醐味を体感でき、仕事の面白さを改めて知るに至った。

重機課からIT課へ異動して1年が経過した頃、娘が誕生。妻と相談し、育児休業制度を取得することに。ほぼ同時期、支店内で自分の他に3人の男性社員が育児休業を取得していたが、ごく自然な流れで3ヶ月間の育児休業に入ることができた。心に残っているのは、育児休業に入る直前も、復帰した際も、課や支店の皆が笑顔で送り出してくれて、また出迎えてくれたことだ。心置きなく育児に専念できたのは、自分が休むことで仕事の負担が増えるはずなのに、皆が「育児は大変だから頑張ってね」と背中を押してくれたから。家族を支えることに全力投球できたこの期間は、最高に幸せを感じる日々だった。今後、育児休業や出産休暇の取得を検討している仲間がいたら、全力でサポートしたいし、組織にも恩返ししていきたい。そして、こうした制度を取得する大切さを、自身の体験を以って伝えていきたいと思っている。

現在携わっているのは、成長著しく社会からの注目度も高い、半導体の製造に欠かせない露光装置をはじめとした精密機器の輸送・搬入・搬出作業だ。大きな特徴の一つとして、クリーンルームと呼ばれる温度や湿度が徹底管理され、小さなホコリの存在すらも許されない特殊環境下で作業が行われることにある。留意すべきは、取り扱う装置が数億〜百数十億円と非常に高価であること。加えて、振動などの環境の変化に弱く、取り扱いに最新の注意が求められることだ。そこで、空気の力で装置を数ミリ浮かせる機材を駆使しながら、慎重に搬送作業を行う必要がある。重機課で培った工法とはまた違った対応が求められる一方で、重量品を扱うこれまでのノウハウに、精密機械を取り扱うスキルが加わり、さらに計画〜現場管理に取り組める環境は学びの宝庫で確かな成長実感がある。そして、どんな現場であっても、実際に作業を行う方々が安全かつ効率的に業務を進められる舞台を整えていくといいう自分の役目の重要性を改めて実感している。
時代の移り変わりとともに新たな機材を用いるなど、工法の効率化が進んでいる。計画における事務作業も効率化を進める上で例外ではなく、働き方改革に合わせた取り組みが必要だ。その一環として計画書の作成や許認可の申請など、多岐にわたる事務作業の業務効率化を実現したいと考えている。そこで生まれた時間を、新たな事業創造やより綿密なコミュニケーションに充てることでさらなる事業の活性化に貢献…そんなビジョンを描いている。具体的な構想についてはこの場では置いておき、事業と現場力の拡大につながる業務効率化には積極的に取り組んでいきたい。また入社10年を超え、若手や後輩への指導もまた、自分の大きな役割であると感じている。幸い教えるのは好きであるため、新入社員や後輩の成長につながるよう、的確な指導を行いつつ良い相談相手になれたらと思う。同時にこれからも学び続ける必要がある。役職や年齢関係なく、自身のさらなる成長のために日々勉強して業務に取り組んでいきたい。

